つながりと相性:出会いを支援するOkCupidのアナリティクス活用法

people reacted
< 1 -minute Read,

Posted on October 21, 2021

マッチングアプリは、常にデータドリブンで科学的かつ効果的な方法で、共通の目標や興味を持つ人々を結びつけてきました。

マッチングアプリは、常にデータドリブンで科学的かつ効果的な方法で、共通の目標や興味を持つ人々を結びつけてきました。

最近のPew Researchのレポートによると、今日ではアメリカ人の約3分の1がマッチングアプリ/サイトを利用しており、12%がオンラインデートを通じて知り合った人と交際したり、結婚したりしています。相性の良い相手と出会えるなんて奇跡のように思えるかもしれませんが、マッチングアプリ/サイトを利用している場合、ぴったりの相手との出会いは計算されたプロセスです。マッチングサイトは、常にデータドリブンで科学的かつ効果的な方法で、共通の目標や興味を持つ人々を結びつけてきました。

これまで沢山のマッチングアプリが登場し、あらゆる興味関心を持つ人やさまざまなコミュニティ・グループに属する人に対応しています。OkCupidは当初から存在していましたが、今日ではビジネスインテリジェンス(BI)ツールとプロダクトアナリティクスツールの活用がプラットフォームの成功を支えています。

データで駆動、ハートが動力

OkCupidではデータが企業ミッションの中核となっています。データへのこだわりこそが、OcCupidが毎週400万件以上の出会いを生み、年間2億件以上、1日500万件の紹介を行い、ニューヨークタイムズのウェディングセクションで他のマッチングアプリよりも多く言及される理由です。

私はOkCupidに3年間勤務し、プラットフォームアナリティクスを扱うデータサイエンスチームを管理してきました。意味のある人間のつながりが生まれるのを目にするのはワクワクします。ですが、マッチングアプリを開いてすぐに恋が見つかるのは稀なのです。ユーザーは、好きなもの、嫌いなもの、許容できない条件などの情報をアプリが学習し、相性の良い相手を見つけられるよう、しばらくはアプリを使い続ける必要があります。

OkCupidの主な差別化要因の一つは、相性を決めるマッチスコアを算出するために質問を使うことです。質問が増えれば増えるほど、情報が増えて、ユーザー同士をうまく組み合わせられるようになります。しかしこれを行うには、取得した大量のデータを理解する必要があります。

完璧なデータスタックを作成する

データアナリティクスチームの焦点は、OkCupidプラットフォームがどのように機能していて、それを改善するために何ができるかを理解することです。私たちの仕事は、従来のビジネスインテリジェンス(BI)レポートからアルゴリズム開発、そしてユーザーエクスペリエンス(UX)とプロダクトの最適化にマクロ的に焦点を当てた最適化など多岐にわたります。

OkCupidユーザーのデータスタックは、mParticle、Looker、プロダクトインテリジェンス(PI)プラットフォームのAmplitudeで構成されています。mParticleはユーザーのイベントデータを収集・保存して、一般的なビジネスレポート用にLookerへ、ユーザー行動やカスタマーエクスペリエンスの深い分析用にAmplitudeへデータを送信します。

私のチームはAmplitudeを使用し始めた当初、主にイベント追跡とセグメンテーションのためのツールだと考えていました。ですがそのうち、エンゲージメントの測定、ユーザーコホートの特定、さまざまなユーザージャーニーの分析、コンバージョンやリテンションの主要な指標を見つけるために使用できることがわかってきました。Amplitudeは、実際にこのタイプのアナリティクスのために設計されているため、意味のあるインサイトにアクセスできるまでの時間を短縮することができます。

BIとAmplitude:相乗効果

最も魅力的で楽しいプロダクトを構築するには、多くのA/Bテストとデータ分析を行って、ユーザーが好むプロダクトの側面を判断し、ユーザーのエンゲージメントを高める機会を見つける必要があります。長期的な関係を求めている意識の高いユーザーであれ、気軽な関係を求めてたまに使用するユーザーであれ、ユーザーがどんな人であるかを把握するとともに、プラットフォームへの様々な関わり方や、利用を継続したり、時間とともに離脱する原因となる行動や動機を理解する必要があります。

Looker、Tableau、Power BIのような従来のBIツールでもこの分析を行うことはできますが、プロダクトに関する疑問に答えを出すためのデータモデルを時間をかけて構築する必要があります。また、私たちが持っているデータから得られるインサイトの深さには限界があります。

一方、Amplitudeを使用すると、非構造化データの意味を理解し、さまざまなユーザーとプロダクト内でのユーザージャーニーを理解し始めることができます。そしてそこから、より構造化されたレポートを構築し、ユーザーが最も価値を感じるプロダクト体験を特定し、OkCupidにそれをさらに組み込むことができます。

たとえば、Amplitudeでは、ユーザーがアプリを長時間使うことを示唆する様々な行動を特定して理解することができます。また、ログインしてすぐにアプリを離れるユーザーについてはAmplitudeがユーザーの経路を教えてくれるので、セッションを終了する前に何が起こっているのかを分析できます。その結果、OkCupidのどんな要素を変更すべきなのか、あるいは完全に排除すべきかなのかがわかるようになるのです。

Lookerのような従来のBIツールでは、データウェアハウスのあらゆる情報にアクセスし、従来の集計やピボットを非常に簡単に実行することができます。一方で、Amplitudeがその実力を発揮するのは、時系列のイベントやうまく構造化されていないデータを処理するときです。

具体的な例を挙げると、BIツールを使用して「ユーザーが一定期間に獲得した『いいね』の件数は?」という質問に答えるのは簡単です。ですがAmplitudeが付加価値を発揮するのは、その「いいね」に至った要因を理解する部分においてです。通知を通じてだったのか、それともアプリのさまざまな部分を移動してだったのか?そこからどこに移動したのか、そしてさまざまな機能への典型的なエンゲージメントパターンはどのようなものだったか?つまり、あるユーザーが今日20人の人に「いいね」を押したことをただ知るのではなく、そのユーザーの体験と好みに関するストーリーを形成し始めることができるのです。例えば20人に「いいね」を送り、それぞれにメッセージを送るのに長時間費やしたのかもしれません。そんなユーザーと、短時間で20人に「いいね」を付けたユーザーは異なります。

ユーザーの体験の微妙な違いは、集計からでは見えにくいものです。Lookerは現行のデータストレージシステム上に構築されているため、上記の質問の答えを出すには、カスタムレポートを構築したり、複数のデータセットを結合したり、SQLを書いたりする必要があります。ですがAmplitudeを使用すれば、目の前でユーザージャーニーが確認できるので、違いは一目瞭然です。

チームワークの改善とローンチの加速化

当社で主にAmplitudeを使用しているのは、データサイエンスチームとプロダクトチームです。どちらのチームも、ユーザージャーニーとエンゲージメントに関する疑問を持っていますが、違う種類の疑問に答えを出す必要もあります。たとえば、当社にはオンボーディングフローを専門としているチームがあり、このチームは新規ユーザーの離脱ポイントに関心を持っています。一方で別のチームは長期的なリテンションに力を入れていて、ユーザーをサイトに戻ってこさせたり、恋愛で成功する可能性を高めたりする行動など、定着化につながる行動の方に大きく関心を持っています。

Amplitudeでは、さまざまなチャートとダッシュボードをすべて作成して保存し、組織内でそれらを結合することができます。つまり重複作業が不要になるのです。複数のチームが定期的に結果を共有し、同じデータセットを基に意思決定を行えるからです。データに対してセルフサービスのアプローチをとっていても、時間を節約し、十分な情報を得た上での意思決定につながる真の共同作業プロセスといえます。

Amplitudeなら、さらに開発時間を使って新しいビューを構築しなくても、構造化されたデータを見ることができます。新しい機能をローンチするたびに、mParticleにそのためのイベントをインストールし、それを適切なユーザーとイベントプロパティを使用してAmplitudeに送信するだけで良いのです。従来は、プラットフォーム内で確実に正確なデータトラッキングを行おうとすれば、アナリストがPythonまたはSQLでクエリを書く必要がありました。Amplitudeなら、アナリストによる介入は不要です。新しいイベントがロードされているのをリアルタイムで確認でき、AmplitudeチャートですぐにQAを行えるからです。

そして、チームワークと機能性の強力なコンビによって得られる究極の効果は何と言っても、プロダクトへのベット(賭け)がうまくいっているかを即座に把握し、以前よりもはるかにスピーディに繰り返しを行えることです。

変化の時代における具体的な方向性

今年は広範にわたるロックダウンにより、恋愛の常識が変わりました。ですが、私たちは従来の恋愛しきたりの喪失を嘆く代わりに、新たな問いに答えを出す必要がありました。それは「コロナ禍での恋愛に合わせて、当社のプラットフォームの使い方がどのように変わったか?」ということです。

まず第一に、ユーザーが会話を深めるために前よりずっと多くの時間を費やしていることがわかりました。以前のように簡単に相手に会えないため、アプリ内で相手を知るために時間を費やす必要があるのです。BIとPIの強力なコンビを活用すると、これらの新しいパターンに関する具体的なデータへアクセスできるようになります。ユーザーがオンラインでつながりを深められる機会をさらに増やすことで、物理的な距離感により多くの人が感じてきた空虚感を埋めることができるのです。

データアナリティクスで出会いを探すのはロマンチックに思えないかもしれませんが、うまくいくのです。OkCupidのミッションは世界中の人に恋を見つけてもらうことです。そして私たちは適切なデータを適切な方法で応用することによって、そのお手伝いをしています。

Nick Aldershof

Nick Aldershof leads the analytics team for OkCupid. Throughout his career he's been focused on optimizing products with strong network effects in order to build healthy ecosystems and markets. He's passionate about using data science and analytics to optimize business operations and drive growth with novel insights and improvements in business strategy.

More from Nick

インスピレーション

インスピレーション people reacted

ドコモ「d払い」の市場戦略を具現化する「データの民主化」

2 -minute Read

世界中のプロダクトリーダーが一堂に会する大型カンファレンス「Amplify 2022」が2022年5月に米ラスベガスで開催されました。日本からは、NTTドコモのウォレットサービス部長の田原 務氏が登壇し、「Why and How to Democratize Terabytes of Data」と題して講演しました。本稿では田原氏が語った「d払いを取り巻く環境とAmplitudeの活用方法」と、NTTドコモがAmplitudeを選んだ3つの理由や、導入成果についてレポートします。